独立行政法人 地域医療機能推進機構

パンフレット

「平成29年7月九州北部豪雨」への対応について活動報告

(JCHOニュース2017秋号トピックス)

九州北部豪雨 避難所の様子
九州北部豪雨 土砂撤去作業の様子1
九州北部豪雨 土砂撤去作業の様子2

この度の九州北部豪雨により、福岡県・大分県を中心とした九州北部で被害が多く発生しましたことに、心からお見舞いを申し上げます。
被害に遭われた方々のご苦労とご心痛をお察しし、不幸にも亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。JCHOにおける各病院の活動状況についてご報告いたします。

九州北部大雨災害における当院DMAT活動報告

九州病院 総合診療部 医長 出雲 明彦

 九州北部地域の大雨災害により被災された皆様、そのご家族の方に心よりお見舞い申し上げます。

九州北部豪雨現地災害対策本部朝倉市役所

 私達は、7月5、6日に福岡県朝倉市や東峰村を中心に生じた豪雨災害にあたり、県DMAT(Disaster Medical Assistance Team)班として活動を行いました。6日21時に福岡県庁よりDMAT招集要請があり、招集可能と連絡すると、23時に派遣指示を受けました。
 当院のDMAT隊は、医師1名、看護師2名、調整員1名で、翌7日、早朝より物資、資機材の準備を早急に行い、現地災害対策本部の朝倉市役所へ向けて出発しました。
活動概況としては、主にDMATチームの活動情報の記録、他組織との被災状況の情報を共有するといった活動拠点本部内の活動でした。

 具体的には、災害現場支援、ヘリポート支援を、他のDMAT隊がそれぞれ行っていたので、これらの活動をサポートするとともにEMIS(広域災害救急医療情報システム)の管理・更新を担う調整活動を行い、福岡県庁本部へ報告しました。他に数名の被災者を診察しましたが、いずれも軽度の外傷で、創処置を行いました。
 業務時間は、6日は、AM9:00~11:00、PM13:30~23:00。翌日は、AM7:00に災害対策本部へ集合し、夜間に生じた情報の整理、自衛隊、警察、消防と情報を共有し、本日の活動予定を確認した後、他DMATへ引き継ぎを行い、私達は任務を終了しました。

九州北部豪雨災害拠点病院朝倉医師会病院

早期予防と災害時の連携

南海医療センター 心臓血管外科診療部長 岩田 英理子

 災害時の静脈血栓塞栓症はいかに早く予防の処置ができるかによります。
 九州北部豪雨では7月9日に医師1名が現地で活動を開始し、翌10日より3名からなるチームを編成、7月15日まで被災地で活動しました。各避難所を回り、避難者の診察、足関節運動や脱水予防等の指導、パンフレット配布、弾性ストッキングの装着、血管エコー検査等を行うと同時に、マスコミ各社に協力いただき、テレビ、新聞、ラジオなどを通じ広く予防の啓蒙活動も行いました。
 幸い今回は有症状の静脈血栓塞栓症の発症は回避できました。現地の看護師・医師会や保健師との連携が非常に重要であるということを痛感しました。非常時に先立っての保健師他への指導・啓蒙が今後の課題となりました。

南海医療センター医療班写真

その他医療従事者の活動報告

九州地区事務所 統括部 医療課 医療政策係長 石元 進也

運動機能低下予防のための集団体操の様子

 7月5日からの九州北部豪雨災害に対し、九州地区管内から5病院、延べ28名のJCHO医療班(DMAT等)を被災地へ派遣しました。その中でも、大分JRAT(大分県大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会 事務局:湯布院病院)や災害支援ナース(久留米総合病院、福岡ゆたか中央病院から各1名)につきましては、亜急性期における被災者への支援を行いました。

 JRATは、理学療法士等による運動機能低下予防のための集団体操や、セルフストレッチの指導、また肺炎予防のための口腔ケアの啓発など、自治体や他の医療チームと連携して行いました。
 また、災害支援ナースは、受傷者の処置や健康状態の確認、トイレの衛生環境の整備、さらに被災の恐怖や将来への不安に対し、被災者の話を傾聴する等の活動を行いました。
 なお、7月27日をもちまして、九州北部豪雨災害に対するJCHOとしての支援活動は終了しましたことをご報告いたします。

洗面台の衛生環境整備の様子