JCHOニュース 2016年夏号

次世代の総合診療医の育成へ向け始動

(2016年JCHOニュース夏号)

JCHO本部 医療課長 吉住 奈緒子

医療は専門医へのニーズが強くなる一方、地域医療の場では、幅の広い診療能力を有し地域包括ケアシステムでも要となる総合内科医(Hospitaist)が求められるようになってきました。
JCHOは、地域医療、地域包括ケアの要として地域住民の多様なニーズに応え、地域住民の生活を支えることが使命であることから、他の団体に先駆け、地域医療に貢献する総合内科医の育成を始めます。
JCHOは全国に57病院あり、病床数や診療科も多様ですが、それぞれが地域医療に貢献しています。こうした多様な病院を持つJCHOの特性を活かしつつ、総合内科医として地域医療に従事することを希望する医師の様々なニーズに対応した形で、質の高いプログラムを提供する体制をJCHO全体で構築します。
それでは、「JCHO版総合内科医(Hospitalist)育成プログラム」(以下「プログラム」という)とはどのようなものなのか、具体的な内容を説明します。

地域医療の現場で必要なエッセンスを2年間で習得

このプログラムの対象となるのは、後期研修を修了した卒後6年目以降の医師です(図1)。総合診療科の経験の有無や内科診療の経験は問いません。既に他科の専門医を取得している医師、これから開業して地域医療に従事することを目指している医師なども対象です。この方々が、地域医療の現場で必要なエッセンスを詰め込んだ2年間(3年間まで延長可)のカリキュラムを受けていただくことで、①地域医療の実践病院(主に中小病院)における総合内科医、②医師不足地域(離島・へき地を含む)で貢献する医師、③総合診療が可能な開業医、として地域医療を実践する能力を習得することを目標としたプログラムです。
図1JCHO版病院総合医(Hospitalist)育成プログラムとは何か?

コアカリキュラムを基本に経験や希望に応じるためのオプションを用意

プログラムでは、コアカリキュラムとして以下の項目を学びます(図2)。
① 総合診療を実践するために必要な臨床推論、臨床疫学、マネジメント等
② 内科を中心とした救急医療
③ 循環・呼吸器管理(集中治療)
④ 一般的な感染症管理
⑤ 在宅医療
⑥ 5疾病をはじめとした複合疾患
⑦ 緩和・終末期医療
⑧ フレイル・認知症
⑨ 放射線読影・超音波手技等
また、その他のオプションとして、小児科、産科、透析、精神疾患、過疎地域での研修など、ニーズに応じて専門的な研修を受けることができる体制になっています。
研修期間は原則として2年間ですが、3年間まで延長可能です。こうした研修期間や履修内容については、これまでの経験や希望に応じて、柔軟に対応します。
また、研修終了後には、学会と共同(予定)で認定証を発行します。図2育成プログラムの研修内容

JCHO病院の多様性を活かし個人のニーズに合わせたカリキュラムの構築が可能

次に、研修病院についてです(図3)。前述のとおりJCHOには多様な病院があり、これらの病院をその特性に応じて総合診療重点病院、地域研修病院、又は専門研修病院に指定します(希望する病院の手上げ)。プログラムでは、2年間の中で研修病院・研修期間を組み合わせて個人のニーズに合ったカリキュラムを作成します。
例えば、総合診療を学ぶことを重視したカリキュラムでは、最初の1年間は総合診療重点病院で総合診療のコアをじっくり学び、その後の半年間地域研修病院で地域医療の最前線で実戦経験を積んだ後、最後の半年間で不足している専門分野について専門研修病院で研修を行う、といった研修が可能です。また、地域医療の最前線を重点的に経験したい場合、まず地域研修病院で3ヵ月研修し、その後専門研修病院と地域研修病院を3ヵ月~半年の期間で行ったり来たりしながら自分の不足している分野を学ぶ、という研修も可能です
図3JCHO版総合診療医(Hospitalist)育成プログラム案

総合医として活躍できる魅力的なキャリアパス

研修修了後にも魅力的なキャリアパスを用意します(図3)。研修修了後は、1年間の留学(研究休職)又は1年間JCHO内の希望の病院での勤務を行ったのち、2年間地域研修病院でスタッフ医師(予定)として勤務していただきます。その後もJCHO病院に勤務していただける場合、将来の幹部候補として採用します。また、JCHO病院に勤務しない場合でも、JCHO提携大学で学位取得、WHO等の国際機関や厚生労働省に勤務(JCHOから各機関へ推薦)、開業医として地域医療に従事など多様な選択肢があります。
プログラムが充実したものになるかどうかは、JCHO病院、JCHO職員の皆さん一人一人のご協力にかかっています。地域医療に貢献するというJCHOの使命を果たすため、JCHOが一丸となってこのプログラムを進めていきたいと思います。
また、総合内科医を目指す熱意ある医師の方々には、ぜひこのプログラムを通じてJCHOで一緒に働いていただき、共に地域医療に貢献していきただきたいと思います。
プログラムの開始に向けて、本部もますます力を入れていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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