中期計画

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 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第29条第1項の規定に基づき平成26年3月7日をもって厚生労働大臣から指示のあった独立行政法人地域医療機能推進機構中期目標を達成するため同法第30条の定めるところにより、次のとおり独立行政法人地域医療機能推進機構中期計画を定める。

平成26年4月1日
平成28年2月4日改正

 独立行政法人地域医療機能推進機構
理事長 尾身 茂


 前文

 医療を取り巻く環境は大きく変化しており、超高齢社会では、合併症、身体機能の低下、認知症の増加など、地域住民のニーズは多様化し、医療・介護・福祉等が切れ目なく連携することが求められている。
 こうした中、社会保険料を財源として設置され昭和20年代から公益法人によって運営されてきた社会保険病院、厚生年金病院及び船員保険病院の57病院は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の改正により、平成26年4月以降は独立行政法人地域医療機能推進機構(以下「地域医療機構」という。)が地域医療を確保するため、これらの病院群を直接運営することとなる。
 地域医療機構は、国民から付託されたと言うべきこの貴重な社会資源を活用して、次の4つの取組を行うことを使命とする。
  1. 地域医療、地域包括ケアの要として、超高齢社会における地域住民の多様なニーズに応え、地域住民の生活を支える。
  2. 地域医療の課題の解決・情報発信を通じた全国的な地域医療・介護の向上を図る。
  3. 地域医療・地域包括ケアの要となる人材を育成し、地域住民への情報発信を強化する。
  4. 独立行政法人として、社会的な説明責任を果たしつつ、透明性が高く、財政的に自立した運営を行う。
 これらの使命を果たすに当たっては、地域医療機構は、旧弊にとらわれることなく、常に未来を見据えて改革を進め、厚生労働大臣から示された中期目標の達成を図らなければならない。
 こうした観点から、ここに本中期計画を定め、これに基づき地域医療機構の使命を果たすべく、職員一丸となって業務の遂行に当たることとする。

第1 国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置

 地域医療機構は、病院群の地域的かつ機能的な多様性の強みを活かし、5疾病5事業、リハビリテーション、在宅医療、その他地域において必要とされる医療及び介護(以下「医療等」という。)について、地域医療機構が有する全国ネットワークを活用しつつ医療等の確保と質の向上を図ることを目指す。
 その際、地域における他の医療機関等との連携を強化しつつ、都道府県の策定する医療計画等を踏まえた適切な役割を果たすことを目指す。
 さらに、地域医療機能の向上に貢献するため、調査研究及び質の高い医療従事者の育成を行うことを積極的に推進する。

1 診療事業等

 地域医療機構に移行する病院は、これまでそれぞれの強みを生かした医療、介護等のサービスを提供してきた。それらの実績を十分生かし、人々が抱える多様なニーズに応えるため、全国規模のグループとして「急性期医療~回復期リハビリ~介護」を含むシームレスなサービスを提供し、地域医療・地域包括ケアの確保に取り組む。
 また、全国57の病院や附属の介護老人保健施設(以下「老健施設」という。)等を拠点として、関係機関と協力しながら、我が国の地域医療の再生に向けた様々な取り組みを推進し、安心して暮らせる地域づくりに貢献する。

(1)地域において必要とされる医療等の提供
 地域において必要とされる医療等の提供に当たっては、各病院及び老健施設(以下「病院等」という。)が果たしてきた取組の充実はもとより、地域での取組が十分ではない分野について、他の医療機関等とも連携しつつ、積極的に補完するよう努める。
 病院等の運営に当たり、協議会の開催等により、広く病院等の利用者その他の関係者の意見を聞いて参考とし、地域の実情に応じた運営に努める。
 また、各地域で開催される地域医療に関する協議の場に積極的に参加する。

(2)地域医療機構の各病院等に期待される機能の発揮
 地域において必要とされる医療及び介護を的確に提供する観点から、各病院の実情に応じて、すべての地域医療機構の病院等は、以下の①から④までを満たす運営を行うように努める。

① 地域医療支援機能の体制整備
 地域の医療機関等との連携を図りつつ、地域において必要とされる医療・介護機能の確保を図る観点から、すべての病院等が地域医療支援に係る機能を有する(以下のアからエまでをすべて満たす)こと。
    ア 地域の医療機関等との連携(下記a~dのいずれかを満たすこと。)
    • 紹介率80%以上
    • 紹介率60%以上かつ逆紹介率30%以上
    • 紹介率40%以上かつ逆紹介率60%以上
    • a~cを満たすことができない場合は、紹介率・逆紹介率ともに平成25年度に比し、中期目標の期間中に少なくとも5%以上の向上
    イ 救急医療を提供する能力を確保していること。
    ウ 建物、設備、機器等を地域の医師等が利用できる体制を確保していること。
    エ 地域の医療従事者及び地域住民に対する教育を行っていること。

② 5事業の実施
 すべての病院が地域の実情、各病院の機能を踏まえ、5事業のうち、以下の一定以上のレベルを満たす、いずれか1つ以上の事業を実施すること。
    ア 救急医療
     救命救急センターへの認定又は病院群輪番制・夜間休日対応への参加
    イ 災害医療
     災害拠点病院の指定又は都道府県が認定する協力病院や救護病院を含む災害支援病院等の認定
    ウ へき地医療
     へき地医療拠点病院の指定又はへき地診療の支援として巡回診療等に従事していること。
    エ 周産期医療
     地域周産期母子医療センターの認定又はハイリスク分娩を取り扱うこと。
    オ 小児医療
     小児救急医療提供として病院群輪番制・夜間休日対応への参加

③ 地域におけるリハビリテーションの実施
 すべての病院等が地域の実情、各病院の機能を踏まえ、以下のいずれか1つ以上の事業を実施すること。
    ア 急性期・回復期リハ
     心大血管リハ・脳卒中リハ・運動器リハ・呼吸器リハのいずれかの急性期・回復期リハを実施する。
    イ 維持期リハ
     病院における訪問リハビリテーションの提供又は老健施設における通所リハビリテーションもしくは訪問リハビリテーションを実施する。

④ その他地域において必要とされる医療等の実施
 すべての病院等が地域の実情、各病院の機能を踏まえ、以下の事業を実施すること。
    ア 地域包括ケア
     地域包括ケアについては以下のいずれか1つ以上の事業を実施すること。
    • 病院等においては退院・退所前から退院・退所調整を行い、居宅系サービス等との円滑な連携を行うこと。
    • 地域包括支援センターの運営を行うこと。
    • 訪問看護、訪問リハビリテーション又は通所リハビリテーション事業を行うこと。
    イ 地域において必要とされる医師の育成
     地域において必要とされる医師の育成については以下のいずれか1つの要件を満たすこと。
    • 日常的に頻度が高く、幅広い領域の疾病等について適切な対応を行い、かつ、他職種と連携して多様なサービスを包括的に行う総合的な診療能力を有する医師の育成を行うこと。
    • 地域で不足している診療科の専門医にかかる研修医療機関に指定されていること。

(3)5事業など個別事業・疾病に対する機構全体としての取組
① 5事業
    ア 救急医療
     地域住民と地域医療に貢献するために、救急医療に積極的に取り組むこととし、病院群輪番体制・夜間休日対応の充実に努め、平成25年度に比し、中期目標の期間中に、救急車による救急患者の受入数について5%以上の増加を目指す。
    イ 災害医療
     大規模災害が発生した場合には、被災地の実情に応じ、災害発生初期のみならず持続的に支援を行う。また、災害発生初期の派遣に備え、機構内の災害拠点病院等において、医療救護班・DMATの編成に努める。
    ウ へき地医療
     へき地を含む医師不足地域への支援について、全国的なネットワークを活かして協力を行う。
     また、へき地医療従事者に対する研修を開催するとともに、遠隔医療の支援に積極的に参加する。
    エ 周産期医療
     地域住民と地域医療に貢献するために、周産期医療に積極的に取り組むこととし、平成25年度に比し、中期目標の期間中に、分娩数、ハイリスク分娩数及び母体搬送の受入数について各々3%以上の増加を目指す。
    オ 小児医療
     地域住民と地域医療に貢献するために、小児医療に積極的に取り組むこととし、病院群輪番体制・夜間休日対応の充実に努め、平成25年度に比し、中期目標の期間中に、救急車による小児救急患者の受入数について5%以上の増加を目指す。

② リハビリテーション
 地域におけるリハビリテーション分野においてリーダーシップを果たす。市町村事業や地域の自主的活動へのリハビリテーション専門職の派遣も行う。

③ 5疾病
 地域のニーズを踏まえ、各病院においてこれまで取り組んでいるがん・心筋梗塞・脳卒中・糖尿病・精神医療の充実を行う。特に、高齢社会により、患者の急増が予測される認知症対策を強化する。

④ 健診・保健指導
 地域住民の主体的な健康の維持増進への取組を進めるため、効果的な特定健康診査・特定保健指導等を実施して、生活習慣病予防をはじめとする予防・健康管理対策を実施する。

⑤ 地域連携クリティカルパス
 地域の医療機関と連携し、効果的・効率的な医療を提供できるよう、地域連携クリティカルパスの取組を推進し、実施病院数等の増加を目指す。

⑥ 臨床評価指標
 医療の質や機能の向上を図るため、平成27年度を目途に、機構全体として標準的な臨床評価指標を患者の視点も踏まえて定め、策定後はPDCAサイクルの視点を取り入れつつ業務改善に活用する。

(4)高齢社会に対応した地域包括ケアの実施
 各病院の特色を踏まえ、地域における在宅医療施設やサービス事業所とも協力し、医療と介護の連携体制の強化を行う。また約半数の病院に老健施設が併設されているという特色を活かし、老人保健施設サービス、短期入所、通所リハ、訪問リハ、訪問看護等の複合的なサービスが一体的に提供される拠点として地域包括ケアの推進に努める。
 老人保健施設サービスなど各サービスの実施に当たっては、在宅復帰、認知症対策、看取りへの対応など国及び市町村の介護政策を踏まえた適切な役割を果たすよう努める。

① 地域包括支援センター
 介護予防事業への取組など地域包括支援センターの運営を積極的に行う。

② 老健施設
 病院に隣接し、病院と一体的に運営されているという特色を踏まえ、医療ニーズの高い者(喀痰吸引、気管切開等が必要な者)の受入を積極的に行う。
 また、在宅復帰・在宅療養支援機能を強化する。
 さらに高齢者のがん患者を含め、施設において本人や家族の意向を踏まえた看取りができる職員の対応能力を高め、看取りにも対応する。

③ 訪問看護・在宅医療
 訪問看護ステーション等を充実させ訪問看護体制を強化する。
 また、地域の在宅医療を担う医療機関の支援として退院支援が必要な患者や在宅療養者の急変時の受入を積極的に行うとともに、地域の在宅医療・介護関係者への研修を実施する。

④ 認知症対策
 認知症を早期に診断し対応する体制を整備する。このため認知症サポート医の積極的な養成に努める。
 高齢者が自分らしく健康的な暮らしを継続できるよう、認知症に加え運動機能も適切に評価を行い、日常生活の指導を行うための専門外来(物忘れ外来等)を設ける。

2 調査研究事業

(1)地域医療機能の向上に係る調査研究の推進
 地域医療機能の向上の観点から地域医療機構が実施している健診事業・診療事業・介護事業で得られたデータを統合し、IT等を活用しつつ、公衆衛生学・社会学的なアプローチも含めた調査研究を行い、地域の実情に応じた医療の提供に活用するとともに、その成果を地域の課題解決に係るモデル等として情報発信する。

(2)臨床研究及び治験の推進
 地域医療機構が有する全国ネットワークを活用し、EBM(エビデンスに基づく医療(Evidence Based Medicine))推進のための臨床研究を推進する。
 また、新医薬品等の開発の促進に資するため、地域医療機構が有する全国ネットワークを活用して治験・市販後調査に取り組み、実施病院数及び実施症例数の増加を目指す。

3 教育研修事業

 地域医療機構の有する全国ネットワークを活用し、地域の医療機関と連携しつつ、地域医療機構の特色を活かした臨床研修プログラムやキャリアパスにより、地域医療機構が担う医療等に対する使命感をもった質の高い職員の確保・育成に努めるとともに、地域医療に貢献する研修事業等を実施する。
 また、教育研修事業によって得られた知見等を情報発信する。

(1)質の高い人材の育成・確保
① 質の高い医師の育成 
 研修医(初期及び後期)については、地域医療機構の特色を活かしたプログラムに基づく研修を実施し、質の高い医師の育成を行う。
 専門医の育成については、現在、検討が進められている新たな専門医に関する仕組みの動向も注視しつつ、当面は、現行の専門医の育成はもとより、日常的に頻度が高く、幅広い領域の疾病等について適切な対応を行い、かつ、他職種と連携して多様なサービスを包括的に行う総合的な診療能力を有する医師の育成を行う。
 また、地域医療機構の有する全国ネットワークによる情報・ノウハウ等の共有化を図り、研修の質の向上を図る。

② 質の高い看護師の育成
 高度な看護実践能力及びマネジメント能力をもち、医師など他職種との協働によりチーム医療を積極的に提供していくことのできる質の高い看護師の育成を行う。
 また、地域包括ケアに関する専門分野において質の高い看護師を育成するため、病院、訪問看護ステーション、老人保健施設において実習指導者の任務にあたる者に対する研修を積極的に行う。

③ 質の高い医療・介護関係職種の育成
 メディカルスタッフを始めとする医療・介護関係職種を対象とした研修などを実施することにより、質の高い医療・介護関係職種を育成する。

④ 質の高い事務職員の育成
 独立行政法人としてふさわしい透明性と説明責任のある運営を行うとともに、財政的に自立した運営を行うため、事務職員に対し病院経営、内部統制等に関する研修等を行い、質の高い事務職員を育成する。

(2)地域の医療・介護職に対する教育活動
 地域医療の質の向上を図るため、地域の医療・介護の従事者に対し、地域連携等に係る研究会の開催や医療従事者の人材育成に係る研修事業を実施する。
 また、看護師については、潜在看護師の復職を促進するため、潜在看護師に対する研修を実施する。

(3)地域住民に対する教育活動
 地域住民の健康の意識を高めることなどを目的として、地域住民を対象とした公開講座等を開催し、地域社会に貢献する教育活動を実施する。

4 その他の事項

(1)患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供
 患者自身が医療の内容を適切に理解し、治療の選択を患者自身ができるよう、複数職種の同席による分かりやすい説明等に努めるとともに、患者やその家族が相談しやすい体制をつくる。
 また、医療の標準化や患者にわかりやすい医療の提供を図るため、診療ガイドライン、クリティカルパス(地域連携パスを含む。)、臨床評価指標等を活用した医療の提供に取り組む。
 さらに、良質かつ安心な医療の提供のため、職種間の協働に基づくチーム医療を推進する。

(2)医療事故、院内感染の防止の推進
 医療安全対策の向上のため、医療事故や安全強化に関する情報、院内感染の発生や感染防止対策に関する情報を収集・分析し、医療事故防止、院内感染防止に向けて取り組む。
 さらに、地域医療機構の有する全国ネットワークを活用した医療事故の原因・防止対策の共有化により、医療安全対策の標準化を目指す。

(3)災害、重大危機発生時における活動
 災害や公衆衛生上重大な危機が発生し又は発生しようとしている場合には、迅速かつ適切な対応を行う。

(4)洋上の医療体制確保の取組
 洋上の医療体制を確保するため、無線により応急措置等の助言・指導を行う無線医療事業や船内の衛生管理を担う船舶衛生管理者を養成する講習事業等を行う。

第2 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置

 委託運営を行っていた時期の病院経営上の問題点を厳格に分析・検証した上で、効率的な組織運営のため、組織毎の役割の明確化、適正な人員配置、内部統制及びコンプライアンスの強化、積極的な情報発信等を行い、透明性及び説明責任を確保した事業運営の確立を図る。
 また、運営費交付金が交付されない法人として、経営意識の向上や適切な会計処理等を実施することにより、財政的に自立した経営を目指す。

1 効率的な業務運営体制の確立

 地域医療機構においては、本部、地区組織、病院組織及び職員配置等について、効率的な運営が可能となる組織とする。

(1)本部・地区組織・各病院の役割分担
 地域医療機構が果たすべき使命を全国ネットワークを活かしつつ確実に実施できるよう、本部・地区組織・各病院の役割分担を明確化し、同一業務を分掌しない体制とするとともに、効率的な組織運営とする。

(2)病院組織の効率的・弾力的な組織の構築
 院内組織の効率的・弾力的な体制の標準型に基づき、各病院に係る地域事情や特性を考慮した効率的な体制とする。
 また、効率的な運営を図る観点から、当中期目標期間において管理業務を本部等へ集約化するなどし、法人全体として管理部門をスリム化することについて検討する。

(3)職員配置
 各部門における職員の配置数については、各職員の職務と職責を考慮して、適切なものとするとともに、業務量の変化に対応した柔軟な配置ができる仕組みとする。
 看護師等、病院によって確保が困難な職種については、地区組織の仲介により病院間での調整を行うなど、スケールメリットを活かした職員配置を行う。

(4) 業績等の評価
 本部が各病院の目標管理及び運営実績等に基づく評価を行い、病院ごとの実績については、業務実績報告書において明らかにする。また、職員が業務で発揮した能力、適性、実績等を適正に評価し、職員の給与に反映させるとともに業務遂行意欲の向上を図る業績評価制度を導入し、当該制度の適切な運用と定着を図り、併せて、人事制度への活用を図る。

(5)内部統制、会計処理に関する事項
 独立行政法人として求められる透明性や説明責任を確保するため、マニュアルの整備や研修の実施等による業務の標準化、職員の能力向上、監事監査・内部監査を含めた検査態勢の確立を図り、適正な内部統制及び会計処理を確保する。

(6)コンプライアンス、監査
 会計事務の公正性や透明性と説明責任を含むコンプライアンスの徹底に対する取組を推進するため、各組織における取組の強化(法令遵守状況の確認方法の確立)や職員への周知、研修会の開催により職員の倫理観を高めていく。
 また、全病院に毎年度実施する会計監査法人による外部監査を有効に活用する。

(7)広報に関する事項
 地域医療機構及び各病院等の使命、果たしている役割・業務、財務運営状況等について、広く国民の理解が得られるよう、積極的な広報・情報発信に努める。

(8)IT化に関する事項
 新法人発足時から円滑な運用が可能となるよう、すべての病院共通の人事・給与・会計処理に必要なシステムを導入し、各病院の経営状況の比較等、病院の財務状況を分析し、課題を解決することにより経営改善を進める。
 また、地域の医療機能の向上や機構全体の業務最適化の観点から、医療部門を含めたシステム化に係る方針・計画を策定し、当該計画の着実な実施を目指す。

2 業務運営の見直しや効率化による収支改善

 個々の病院の特色・機能を十分に発揮させるとともに、院内の効率的・効果的な組織の構築や職員の適正な配置を行うことにより、診療報酬上の施設基準の新規取得や効率的・効果的な医療等の提供を通じて増収を図るとともにコスト削減に努め、個々の病院においても財政的に自立した運営を目指す。

(1)経営意識と経営力の向上に関する事項
 取り巻く医療環境の変化に応じて、個別病院ごとに経営戦略や、部門別決算や月次決算におけるデータ分析を踏まえた経営管理サイクルを充実させる。
 また、経営能力、診療報酬請求事務能力等の向上を目的とした経営分析及び経営改善手法に関する研修を定期的に行うことにより職員の資質向上に努めるなど、本部として病院経営に対する支援を行う。
 特に病院幹部職員の経営意識の改革を図り、病院経営力を向上させる。

(2)収益性の向上
① 地域で必要とされる医療等の実施
 地域において必要とされる医療等の提供にあたって、医師の確保、地域の医療機関との連携等により、病院等が果たしてきた取組の充実はもとより、地域で取組が十分でない分野を積極的に補完し、診療収入等の増収に努める。
 また、治験等の競争的研究費の積極的な獲得に努め収益の向上を図る。

② 医療資源の有効活用等
 地域医療機構が有する人的・物的資源及びそのネットワークを有効に活用して、経営改善を図るため、以下の取組を実施する。
  • 病床の効率的な利用の推進
    病診連携・病病連携の推進を進め、新規患者数の増加や適切なベッドコントロールによる病床稼働率の向上により収支の向上に努める。
  • 医療機器の効率的な利用の推進
    既に整備済の医療機器等については、その効率的な使用や他の医療機関との共同利用に努め、稼働率の向上を図る。

③ 収入の確保
 医業未収金については、新規発生防止の取組を一層推進し、法的手段の実施等によりその回収に努めることで、平成25年度に比して医業未収金比率の低減を図る。
 また医業未収金発生防止等を目的とした研修を定期的に行うことにより職員の資質向上に努める。

(3)業務運営コストの節減等
① 適正な人員配置に係る方針
 良質な医療を効率的に提供していくため、医師、看護師等の医療従事者数については、医療等を取り巻く状況の変化に応じて柔軟に対応する。
 技能職等の職種については、業務の簡素化・迅速化、アウトソーシング化等による効率化を図る。
 他の独立行政法人や公的病院などの給与水準を踏まえた適正な給与水準とする。
 人事に関する計画に基づき、適正な人員配置に努めるとともに、業務委託についてもコスト低減に十分配慮した有効活用を図ること等により、中期目標の期間中、人件費率と委託費率を合計した率について、業務の量と質に応じた病院運営に適正な率を目指す。

② 材料費
 後発医薬品の採用促進、同種同効果医薬品の整理などの使用医薬品の標準化を進めて、医薬品の共同購入実施などの業務の合理化を推進することにより、医薬品費と消耗品費等の材料費率の節減を図る。
 また、企業会計原則に基づく適正な棚卸しを行うことにより、在庫管理の適正化に努める

③ 投資の効率化
 建築単価の見直し等を進めるとともに、コスト合理化のための標準仕様に基づく整備や一括契約の実施等により、投資の効率化を図る。
 また、大型医療機器の共同購入を実施するなど医療機器の購入費用の削減を図る。

④ 調達等の合理化
 公正かつ透明な調達手続きによる適切で、迅速かつ効果的な調達を実現する観点から、「調達合理化計画」に基づく取組を着実に実施する。

⑤ 一般管理費の節減
 平成26年度における地域医療機構の一般管理費(退職給付費用を除く。以下同じ。)の平成26年度計画額(社会保険病院等の経営を委託していた団体((社)全国社会保険協会連合会、(一財)厚生年金事業振興団及び(一財)船員保険会)における平成25年度の一般管理費を基に地域医療機構の法人規模等を勘案して算出した額)に比し、中期目標の期間の最終年度において、15%以上節減を図る。

第3 予算、収支計画及び資金計画

 各病院がもつ医療資源、地域における医療ニーズや立地条件などの運営環境等を分析・検証するとともに、経営改善に実績のある他の独法の取組も参考に、当該年度が始まるまでに各病院の実情に応じた経営改善の取組を含む事業計画を策定する。

1 経営の改善

 地域医療機構全体として、中期目標期間の各年度の損益計算において、経常収支率を100%以上とする。

2 長期借入金の償還確実性の確保

 各病院の機能の維持を図りつつ、投資を抑制的に行うことにより、中・長期的な機構の固定負債(長期借入金の残高)を償還確実性が確保できる範囲とし、運営上適切なものとなるよう努める。
 そのため、個々の病院における建物や大型医療機器の投資にあたっては、長期借入金等の償還確実性等を確保するとともに、一定の自己資金を用意することを原則とする。
 また、本部においても適切な長期借入金の管理を行い、計画的な償還を行っていく。
 さらに、長期借入金等の償還確実性等を確保するため、機構の財産の全部または一部について処分する場合には、独立行政法人通則法の規定により財務大臣に事前に協議することとする。
  1. 予  算 別紙1
  2. 収支計画 別紙2
  3. 資金計画 別紙3

第4 短期借入金の限度額

  1. 限度額 20,000百万円
  2. 想定される理由
    (1)業績手当(ボーナス)の支給等、資金繰り資金の支出への対応
    (2)予定外の退職者の発生に伴う退職手当の支給等、偶発的な支出増への対応

第5 不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には、当該財産の処分に関する計画

 なし。

第6 重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとする時はその計画

 なし。

第7 剰余金の使途

 決算において剰余を生じた場合は、将来の投資(病院建物の整備・修繕、医療機器等の購入)及び借入金の償還に充てる。

第8 その他主務省令で定める業務運営に関する事項

1 職員の人事に関する計画

 良質な医療を効率的に提供していくため、医師、看護師等の医療従事者数については、医療を取り巻く状況の変化に応じて柔軟に対応するとともに、経営に十分配慮する。
 特に、医師・看護師不足に対する確保対策を推進するとともに離職防止や復職支援の対策を講じる。
 また、良質な人材の確保及び有効活用を図るため、地区内での職員一括採用や人事交流を促進するための人事調整会議を行うほか、有為な人材の育成や能力の開発を行うための研修を実施する。

(参考)

中期目標期間中の人件費総額見込み  729,259百万円
上記の額は、役員報酬並びに職員基本給、職員諸手当、超過勤務手当、休職者給与及び国際機関等派遣職員給与に相当する範囲の費用である。


2 医療機器・施設設備に関する計画

 中期目標の期間中に整備する医療機器・施設設備整備については、別紙4のとおりとする。

3 独立行政法人地域医療機能推進機構法(平成17年法律第71号)第16条第1項に定める積立金の処分等に関する事項


 中期目標期間終了後、地域医療機構は、病院等の譲渡により得た収益や病院等の運営に必要としない積立金の残額を年金特別会計に納付する。

4 病院等の譲渡

 地域医療機構は、独立行政法人地域医療機能推進機構法第14条において、病院等のうちその譲渡後も地域において必要とされる医療及び介護を提供する機能が確保されるものについては譲渡することができること等が規定されていることから、同条を踏まえた譲渡に係る地域医療機構の方針を整理し、譲渡を行う際には、同条を踏まえた適切な対応を行う。

5 会計検査院の指摘

 「平成24年度決算検査報告」(平成25年11月7日会計検査院)の指摘も踏まえた見直しを行う。

6 その他

 既往の閣議決定等に示された政府方針に基づく取組について、着実に実施する。

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