中期目標

>>>PDF版ダウンロード(PDF:299KB) 000006256

独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第29条第1項の規定に基づき、独立行政法人地域医療機能推進機構(以下「地域医療機構」という。)が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を次のように定める。

平成26年3月7日

平成27年11月9日改正

厚生労働大臣 田村 憲久


前文

急速な少子高齢化の進行など医療を取り巻く環境が大きく変わる中、誰もが安心して医療を受けることができる環境の整備が喫緊の課題となっている。このため、特に、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病及び精神疾患(以下「5疾病」という。)並びに地域医療の確保において重要な課題となる救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療及び小児医療(以下「5事業」という。)並びに在宅医療は、都道府県の医療計画等に基づき効率的で質の高い医療提供体制の構築が進められている。
こうした中、社会保険料を財源として設置され昭和20年代から公益法人によって運営されてきた社会保険病院、厚生年金病院及び船員保険病院の57病院は、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の改正により、平成26年4月以降は地域医療機構が運営することとなる。
これらの病院群は、全国的な病院展開をしており、救急からリハビリまでの幅広い医療機能を有し、また、約半数の病院に介護老人保健施設(以下「老健施設」という。)が併設されている等の特長ある運営を行ってきた。地域医療機構への移行後は、これらの特長、実績を活かしつつ、地域の医療関係者等との協力の下、5疾病5事業、リハビリテーション、在宅医療、その他地域において必要とされる医療及び介護(以下「医療等」という。)を提供し、誰もが安心して医療・介護を受けることができる環境づくりに積極的に取り組む姿勢が求められる。また、独立行政法人として求められる透明性、説明責任を十分に果たした運営も求められる。
独立行政法人への移行は、社会保険病院等として運営されていた時期の慣習や旧弊から離れ、新たな法人として変革を実行する絶好の機会であり、この機をとらえ、経営効率を最大限上げるとともに、地域において必要とされる医療等の確実かつ効果的な実施、患者サービスの向上に積極的に取り組み、それらを国民が実感できるよう最大限の努力を期待する。


第1 中期目標の期間

地域医療機構の本中期目標の期間は、平成26年4月から平成31年3月までの5年間とする。


第2 国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項

地域医療機構は、5疾病5事業、リハビリテーション、在宅医療、その他地域において必要とされる医療等について地域医療機構が有する幅広い医療機能及び全国ネットワークを活用しつつ医療等の確保と質の向上を図ること。
その際、地域における他の医療機関等との連携を強化しつつ、都道府県の策定する医療計画等を踏まえた適切な役割を果たすことに留意すること。
さらに、地域医療機能の向上に貢献するため、調査研究及び質の高い医療従事者の育成を行うこと。


1 診療事業等

(1)地域において必要とされる医療等の提供
地域において必要とされる医療等の提供に当たっては、地域の実情に応じ、他の医療機関等とも連携を図ることにより、地域での取組が十分ではない分野を積極的に補完するよう努めること。
また、病院等の運営に当たり、協議会の開催等により、広く病院等の利用者その他の関係者の意見を聞いて参考とし、地域の実情に応じた運営に努めること。
地域において必要とされる医療等を提供する観点から、各病院及び老健施設(以下「病院等」という。)が地域医療機構の病院等として満たすべき要件(地域医療支援に係る機能、5事業、リハビリテーション、その他)を定め、当該要件を満たした運営を行うよう努めること。
(2)質の高い医療の提供
5疾病5事業について、これまで各病院で取り組んできた事業をさらに発展させていくこと。特に、地域医療機構のネットワークを活用し、へき地や医師不足地域に対しては、地域のニーズに基づいた協力に努めること。
リハビリテーションについては、伝統的に実績のある病院等が核となり、地域におけるリハビリテーションにおいてリーダーシップを果たすこと。
また、健診事業についても実績を活かし、地域住民の主体的な健康の維持増進への取組を進めるため、さらに効果的な健診・保健指導を実施すること。
さらに、医療の質の向上を図るため、地域連携クリティカルパスや臨床評価指標に係る取組を進めること。
(3)高齢社会に対応した地域包括ケアの実施
医療従事者、医療施設等の確保及び有効活用を図り、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、今後の高齢化の進展に対応して地域包括ケアシステム(地域の実情に応じて高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じた日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確立される体制。)づくりが進められている。
地域医療機構においては、約半数の病院に老健施設が附属しているという特色を活かし、医療サービスに加え、老健施設サービス、短期入所、通所リハ、訪問リハ、訪問看護等の複合的なサービスが一体的に提供される拠点として地域包括ケアの推進に努めること。
老人保健施設サービスなど各サービスの実施に当たっては、在宅復帰、認知症対策、看取りへの対応など国の医療及び介護政策を踏まえた適切な役割を果たすよう努めること。

2 調査研究事業

地域医療機能の向上の観点から地域医療機構が実施する取組について、他の地域における課題解決に資するよう、医学生物学的なアプローチのみならず、公衆衛生学・社会学的なアプローチも加えた調査研究を行い、地域の実情に応じた医療の提供に活用するとともに、その成果を情報発信すること。
また、地域医療機構が有する全国ネットワークを活用して、EBM(エビデンスに基づく医療(Evidence Based Medicine))推進のための臨床研究を推進するとともに、治験に積極的に取り組むこと。


3 教育研修事業

地域医療機構の有する特色や全国ネットワークを活用し、地域の医療機関と連携しつつ、地域医療機構の特色を活かした臨床研修プログラムやキャリアパスを構築し、地域医療機構が担う医療等に対する使命感をもった質の高い職員の確保・育成に努めること。地域医療の現場においては、日常的に頻度が高く、幅広い領域の疾病等について適切な対応を行い、かつ、他職種と連携して多様なサービスを包括的に行う医師の役割が期待されていることから、こうした総合的な診療能力を持つ医師の育成にも努めること。
また、EBMの成果の普及や医療と介護の地域連携の促進などを目的として、地域の医療・介護の従事者に対する研修事業の充実を図ること。
さらに、地域住民の健康の意識を高めることなどを目的として、地域社会に貢献する教育活動を実施すること。
これらの教育研修事業を行うことによって得られた知見や成果等を情報発信すること。


4 その他の事項

(1)患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供
患者自身が医療の内容を理解し、治療を選択できるように、医療従事者による説明・相談体制の充実などに取り組むこと。
患者の視点に立った良質な医療を提供するため、地域医療機構の有する全国ネットワークやIT等を活用しつつ、医療の標準化や患者にわかりやすい医療の提供に取り組むこと。
また、職種間の協働に基づくチーム医療などを推進すること。
(2)医療事故・院内感染の防止の推進
地域医療機構の有する全国ネットワークを活用しつつ、医療安全対策の充実を図り、医療事故・院内感染の防止に努めること。
(3)災害、重大危機発生時における活動
災害や公衆衛生上重大な危機が発生し又は発生しようとしている場合には、迅速かつ適切な対応を行うこと。
(4)洋上の医療体制確保の取組
洋上の医療体制を確保するため、船員保険病院が実施してきた事業(無線医療事業等)について、必要とされる医療を提供する観点から地域医療機構において実施すること。

第3 業務運営の効率化に関する事項          

委託運営を行っていた時期の病院経営上の問題点を厳格に分析・検証した上で、効率性、透明性と説明責任が求められる独立行政法人の趣旨を十分に踏まえた運営を行うとともに運営費交付金が交付されない法人として、財政的に自立した運営を行うこと。


1 業務運営体制

(1)組織
地域医療機構が果たすべき使命を確実に実施できるよう、本部と各病院の役割分担、院内組織等を定め、それぞれが求められる役割を適切に果たすこと。
効率的な運営を図る観点から、当中期目標期間において管理業務を本部等へ集約化するなどし、法人全体として管理部門をスリム化することについて検討すること。
職員配置については、地域において必要とされる医療等を提供するため、地域医療機構のネットワークも活用し、医師・看護師等の人材を確保し、適正な職員配置とすること。
(2)業績等の評価
組織目標の効率的かつ効果的な達成と職員の意欲の向上に資するよう、本部が各病院の目標管理及び運営実績等に基づく各病院の評価を行うとともに、職員の実績を適切に評価する人事評価を行うこと。
なお、病院ごとの実績については、業務実績報告書において明らかにすること。
(3)内部統制、会計処理に関する事項
独立行政法人として求められる透明性や説明責任を確保するため、マニュアルの整備や研修の実施等による業務の標準化、職員の能力向上を図り、適正な内部統制及び会計処理を確保すること。
その際、総務省の「独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会」が平成22年3月に公表した報告書(「独立行政法人における内部統制と評価について」)、及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から独立行政法人等の業務実績に関する評価の結果等の意見として各府省独立行政法人評価委員会等に通知した事項を参考にすること。
(4)コンプライアンス、監査
会計事務の公正性や透明性と説明責任の確保を含むコンプライアンス(法令遵守)徹底の取組を推進すること。
監事による監査のほか、全病院に対し、毎年、会計監査人による外部監査を実施すること。
(5)広報に関する事項
地域医療機構の役割、各病院の取組等について積極的に広報に努める体制を整備すること。
(6)IT化に関する事項
業務の効率的な実施の観点から、費用対効果についても考慮しつつ、新法人発足時から円滑な運用が可能となるよう全病院共通の人事・給与・会計に係るシステムを構築し、有効に活用すること。
また、地域の医療機能の向上や機構全体の業務を最適化する観点から、医療部門を含めたシステム化に係る方針、計画を策定し、当該計画に基づき適切に対応すること。

2 業務運営の見直しや効率化による収支改善

各病院の特性を活かした良質な医療の提供を図るとともに、適正な職員配置などの業務運営の見直しを通じて、診療収入等の増収及び経費節減を図り、各病院の収支を改善すること。


(1)経営意識と経営力の向上
運営費交付金が交付されない法人として、財政的に自立した運営が求められていることを踏まえ、研修や職場内における教育訓練(OJT)等を通じて職員の経営意識の向上を図るとともに、月次決算におけるデータ分析を踏まえた経営改善策の実施等により経営力を向上させること。
(2)収益性の向上

① 地域で必要とされる医療等の実施
医師の確保、地域の医療機関との連携等により、地域で必要とされる医療等を提供し、診療収入等の増収を図ること。
また、治験等の競争的研究費の獲得に努めること。

② 医療資源の活用等
病床稼働率の向上、共同利用を含む医療機器の利用率の向上を図り、医療資源の有効活用を促進すること。

③ 収入の確保
適切な債権管理及び定期的な督促の実施による時効の中断を行うこと等により、医業未収金の発生防止や徴収の改善を図ること。


(3)業務運営コストの節減等

① 適正な人員配置及び人件費
適正な人員配置に努めるとともに、類似の業務を行っている事業者の給与水準を踏まえた適正な給与水準とすること。

② 材料費
後発医薬品の採用促進、同種同効果医薬品の整理、共同購入等の調達方法及び対象品目の見直しを行い、医薬品費と消耗品費等の材料費率の節減を図ること。

③ 施設・医療機器の整備
施設・医療機器の整備については、適正な建設単価の設定やコスト削減に資する一括契約の実施等により、投資の効率化を図る。
また、高額の医療機器については、共同購入を行い、経費の節減を図ること。

④ 調達等の合理化
公正かつ透明な調達手続きによる適切で、迅速かつ効果的な調達を実現する観点から、「調達等合理化計画」に基づく取組を着実に実施すること。

⑤ 一般管理費の節減
平成26年度に比し、中期目標の期間の最終年度において、一般管理費(退職給付費用を除く。)について、15%以上節減を図ること。


第4 財務内容の改善に関する事項

「第3 業務運営の効率化に関する事項」で定めた事項に配慮した中期計画の予算を作成し、当該予算による運営を実施することにより、中期目標の期間における期首に対する期末の財務内容の改善を図ること。
各病院がもつ医療資源、地域における医療ニーズや立地条件などの運営環境等を分析・検証するとともに、経営改善に実績のある他の独法の取組も参考に、当該年度が始まるまでに各病院の実情に応じた経営改善の取組を含む事業計画を策定すること。


1 経営の改善

中期目標の期間の各年度の損益計算において経常収支率を100%以上とすること。


2 長期借入金の償還確実性の確保

病院建物や大型医療機器の投資にあたっては、長期借入金の償還確実性を確保すること。


第5 その他業務運営に関する重要事項

1 中期計画における数値目標

本中期目標の主要な事項について、中期計画において数値目標を設定すること。


2 独立行政法人地域医療機能推進機構法(平成17年法律第71号)第16条第1項に定める積立金の処分等に関する事項


中期目標期間終了後、地域医療機構は、病院等の譲渡により得た収益や病院等の運営に必要としない積立金の残額を年金特別会計に納付すること。

3 病院等の譲渡

地域医療機構は、独立行政法人地域医療機能推進機構法(平成17年法律第71号)第14条を踏まえた適切な対応を行うこと。


4 会計検査院の指摘

「平成24年度決算検査報告」(平成25年11月7日会計検査院)の指摘も踏まえた見直しを行うこと。


5 その他

既往の閣議決定等に示された政府方針に基づく取組について、着実に実施すること。


PageTop